『夜間飛行』

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nightflight『星の王子様』作者であるサン=テグジュペリの作品、『夜間飛行』を読みました。

『星の王子様』はまえがきにもあるとおり、子供向けに書かれたものですが、実はものすごく深い内容です。何度読んでも新しい発見がある本です。登場する人々はそれぞれに憂いや悲しみ、時にいわれのない義務を背負っていたりします。見方によっては滑稽であり悲しくもあります。色々な読み方ができる物語です。

さて、今回読んだ『夜間飛行』、航空会社の経営者とそこで働く人々がある夜に起きた自社航空機の遭難事故を取り扱ったものです。恐らく、この本が書かれた当時は慣性航法装置は無く、無線も使用する周波数が低いため、雷の影響を受けやすかったのでしょう。そんな時代に、夜間飛行を行うというのは、目隠しをして歩くようなものだったのでしょう。そんな中発生した遭難事故。あらしの中で機は自分の場所すらわからず、目的地の方向すら見失います。真っ暗闇の嵐の中でついに燃料は尽きます。地上ではちょっとしたミスを起こしたベテラン整備士にクビを言い渡し、その心中は揺れに揺れます。そして、遭難機のパイロットの妻が社長に詰め寄ります。

恐らく数時間の出来事なのですが、冷徹な経営者として振舞う社長。しかし、その内面は乱れます。規律を乱すものを厳しく正すのですが、古くからの仲間に引導を渡すに当たってはその心は千路に乱れます。

いかなる小さな失敗も許さない厳しい経営者の心模様を丁寧に描いた名作です。