『芋粥』

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芥川龍之介氏の作品『芋粥』です。

風采の上がらない五位(恐らく官職なのでしょうが、恥ずかしながらどの程度の職位なのか解りません。話の筋からすると、下から二つとか三つめと思われます。)が、芋粥が食べたいとポロリと漏らすの聞きとめた者から、大量の芋粥を振舞われるのですが、余りにも大量な芋粥を目にした途端芋粥に対する欲が霧消してしまうという筋の話です。

この作品を読むきっかけになったのは苫米地英人氏の著作の中で引用されていたからです。この作品は、人間の欲というものについて考えさせられるものです。そのものが手に入らないうちは欲しくて仕方がないのですが、いざ手に入ってしまった途端、手に入れるための熱意が霧消してしまうという人間心理を描いたものです。

欲しいものが手に入らないうちが世の花で、いざ手に入ってしまうと寧ろ落胆であったり、欲しいものを失ったことによる空虚感というのは私自身感じてきました。他人に明かせる事柄ではありませんが、今、私には欲しくて仕方のないものが有ります。それこそ喉から手が出るほど欲しいものです。ただ、ひょんなことからほぼ確実に手に入ることになりました。実際、まだ手に入っていないのですが、ほぼ確実に手に入ってしまいます。いま、次に手に入れるべきものを探しています。そうしないと、少し大げさですが生きる目標を失ってしまうかもしれません。

芥川龍之介氏の作品全体に言えることですが、誰しもが心の片隅に持っている欲望や良心、そして時として妬みや疑いを描いています。人の心の在り方、そして時としてそんな心の片隅に一筋の光明を与えてくれます。