『河童』

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言わずと知れた芥川龍之介氏の代表作です。精神を患った者が語った事を物語としたという一文から物語は始まります。見方によっては、河童の話を語るその人こそが著者である芥川龍之介氏自身なのかも知れません。このあたりは『妙な話』と併せて読むと何となく事情がつかめるように思います。

物語は男がある日沢伝いに山を目指す途中で河童を見かける所から始まります。河童を追いかけていた男は穴に転落してしまいます。転落し、気を失っていた男を介抱してくれたのは河童たちで、その場所は河童の国でした。男は河童の国でしばらく暮らすこととなります。そこには、人間世界と同じように実業家、哲学者、医者、学生、作家など様々な身分の河童がいます。しかし、ある日男は人間世界に帰る事を欲し、人間世界への縄梯子を延々と登り人間世界に帰ります。しかし、帰り着いたその場所は精神病院でした。

何となく、現代版の浦島太郎と言えるかも知れません。