究極のヘッドホンアンプかもしれない

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元々は、中華製の安価なMP3デコーダをまともに鳴らすために作り始めたヘッドホンアンプですが、ようやく自分なりの答えが出せたように思います。最初はオペアンプを使った47アンプと呼ばれる、ヘッドホンアンプキットからつくりはじめました。

その後、ClassAAと呼ばれる、歪みの少ないはずのヘッドホンアンプを作りました。しかし、オペアンプだけでは出力が大きく取れず、オーバーイヤータイプのヘッドホンを鳴らすには力不足を感じるようになりました。そこで、オペアンプで電圧増幅を行い、トランジスタで電力増幅を行うヘッドホンアンプに至りました。

これで、満足はしたのですが、疑問も生まれました。そもそも電圧増幅用のオペアンプは必要なのか?という疑問に至ったわけです。オペアンプは非常に優れた特性と性能を併せ持った部品です。その一方で、オペアンプは内部に沢山の素子を内包しています。そのため位相遅れは生じますし、負帰還も必須です。それに、オペアンプはそれなりにお値段のする部品です。もっとチープに作るなら、もっと素直な音を求めるなら、トランジスタだけでよいのではないかと思い始めました。

幸い手元にはオペアンプの出力を補う目的で買ったトランジスタは沢山(何しろ100個単位でないと売ってくれないので)ありますし、そのほかの部品も焼け焦げて無残に散ったヘッドホンアンプの残骸から取り出して使えそうです。

そうして作ったのがトランジスタ2N2222と2N2907を使ったプッシュプル構成のアンプです。このところ、少しだけトランジスタについて勉強したので、トランジスタでアンプを作る場合の要点はバイアスの作り方であることが何となくわかってきました。そして、作ってみたのがこれです。

トランジスタだけで作ったヘッドホンアンプ
トランジスタだけで作ったヘッドホンアンプ

5センチ×7センチのユニバーサル基板でもスカスカなほど少ない部品点数です。トランジスタは方チャンネル2個、ステレオですから計4個のトランジスタに4個のダイオード、そして4個の抵抗器だけで出来上がりです。ボリュームやらジャックやら電源部分の部品は、すべて焼け焦げて使えなくなった失敗作からの流用です。

音質も何も、部品が極端に少ないので、ノイズ感は一切なしです。バイアスさえしっかり計算して作ってあげればクロスオーバー歪みも感じません。恐らく測定器を持ち出して測ればきっと沢山の歪みが出ているのでしょうが、聴感上は全く感じられません。満足の出来上がりです。

随分と遠回りをしましたが、自分なりの答えに到達したような気がします。