トランジスタバッファ付きヘッドホンアンプの改良

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過日制作したトランジスタ+オペアンプ構成のヘッドホンアンプを聞き込んで、聴感上の違和感を解消すべく回路の見直しを行いました。見直し後の回路図がコレ↓です。

聴感上の違和感を無くすべく、回路の見直しを行いました
見直し後の回路図

今回のポイントは僅かに感じるひずみ感の消込と、小音量時に感じるノイズ感の解消です。

実際に各部の電圧や波形を見ながら原因を探っていきました。ひずみ感に関しては、トランジスタのベース端子に掛かる電圧のオフセット量の僅かな不足によるものでした。これを解消するために、R3とR4の抵抗値を12kΩから5.1kΩに変更しました。また、オフセット電圧を作るためのダイオードの代わりにトランジスタを使用する回路も考えたのですが、熱結合が面倒なので今回は見送りました。

次に、ノイズ感の解消ですが、これは周囲のノイズが入力信号に混ざって流入することが原因でした。これを解消するために、入力部分のインピーダンスを1/3ほどに下げることで解消しました。

併せてオペアンプの変更も行いました。NJM4580に代わってLF353Nを載せることにしました。この変更は出力のオフセットを下げるために行いました。バイポーラ入力のNJM4580よりもオフセット電流の少ないJFET入力のLF353Nに載せ代えることで出力端子のオフセット電圧の縮小を狙ったものです。

ということで、満足のいくヘッドホンアンプが出来上がりました。電圧増幅はオペアンプに、電力増幅はトランジスタに行わせるようにしたハイブリットタイプのヘッドホンアンプです。例によって信号経路上のカップリングキャパシタは省略していますので、DCから増幅してしまいます。出力側に接続するヘッドホンに悪影響を及ぼさないように、ソースとなる機器が直流成分を出していないことを確認しなければなりません。心配であれば入力側にカップリングキャパシタを入れると良いでしょう。容量は4.7μFくらいで十分です。

ちなみに今回使用したトランジスタ2N2222とそのコンプリトランジスタ2N2907は60年も前に世に出たものですが、未だに入手可能です。しかも、驚くほど安いです。私が購入した時の価格は100個(100個が最小発注単位でした)で1ドルとバカ安でした。一個当たり一円少々です。

ちなみに電力増幅部のバイアスオフセット用のダイオードを省略した回路も試してみましたが、クロスオーバー歪を消すことはできませんでした。

2件のピンバック

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