ザ・ムーン

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2009年1月に封切られた映画で、「ザ・ムーン」という映画があった。上映館も少なく、それほど話題にもならなかったがとても良い映画だ。アポロ計画のことを描いたドキュメンタリー映画である。その映画の中にとてつもなく衝撃的な映像が納められている。当時のアメリカ大統領のニクソンが宇宙飛行士の死亡を伝える映像である。アポロ11号の月着陸船が離陸に失敗した場合に流されるはずであった映像である。幸いにも使われる事の無かった映像であるが、そんな映像を作らねばならなかったほど危険な未知への挑戦だった。特に月着陸船についてはいわくつきで、着陸にあと数秒余計に時間がかかれば墜落であったし、姿勢制御用のコンピュータは処理能力不足で動作しなかった。そして、月を離れる際にも自己発火式の燃料が、果たして凍結せず、弱い重力の下、しかも真空の状態で発火する確証は無かった。それほど不確実で危険で無謀でもあったが、結果はご存知のとおり。真っ当に考えたらやってはいけないことだが、殆ど役に立たない憶測や恐れを捨て、ただ淡々と任務を遂行することに専念した結果の成功である。愚直なまでに月に行くことを強く望み、そして実行した者たちの勇気は未だに光を放っている。そして世紀を跨いだ現在においても月の大地を踏みしめた者はたった12名の勇気ある者だけである。