先日、「ブラタモリ」というテレビ番組を見ていた。その回は、東京にある古い建物を探訪するという内容だった。もちろん日本家屋が殆どだったので、靴を脱いで家の中に入る。

メインの出演者で有るタモリが靴を脱ぐ様子が映っていたが、非常に美しく、作法に正しく則った靴の脱ぎ方であった。靴の脱ぎ方なんて、殆どの人は解っている筈で、別に驚くことではないのかも知れない。しかし、テレビ番組の収録という慌しい場面で、正しい所作でさらりと行うタモリという人の凄さを見た。

靴の脱ぎ方なんて、知っているはずなのだが、それをさらりと行えるということは凄いことだと思う。靴の脱ぎ方に限らず、歳を食えば大抵の作法は知っているはずだ。だが、いざと言うと気恥ずかしさが先に立って、なかなか実行できないものだ。つまり、知っていても身についていない。それをさらりとやれるのはある種のずうずうしさかも知れないが、至極美しいものである。