竹内浩三『雨』
2010年12月15日
2023年12月23日
久しぶりに、大好きな竹内浩三氏の詩を引用します。
なんか身につまされますね。
『雨』
さいげんなく
ざんござんごと
雨がふる
まっくらな空から
ざんござんごと
おしよせてくる
ぼくは
傘もないし
お金もない
雨にまけまいとして
がちんがちんと
あるいた
お金をつかうことは
にぎやかだからすきだ
ものをたべることは
にぎやかだからすきだ
ぼくは にぎやかなことがすきだ
さいげんなく ざんござんごと
雨がふる
ぼくは 傘もないし お金もない
きものはぬれて
さぶいけれど
誰もかまってくれない
ぼくは一人で
がちんがちんとあるいた
あるいた
「愚の旗」 成星出版 より