『東京バンドワゴン』

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東京バンドワゴン昭和の香りのする小説です。連作短編形式で、古本屋を営む大家族が繰り広げるドタバタ劇です。何となく昔のテレビドラマ『寺内貫太郎一家』を髣髴とさせる内容です。

今でこそ核家族化が進んで、3世代以上が一件の家に同居することが珍しくなりました。しかし、私もそうでしたが、昭和の家というのは3世代、時には4世代の家族が同居するという事は珍しくありませんでした。私も、最も多かったときには8人の家族が同居していました。そんな家族が賑やかに暮らす風景を描いたのがこの『東京バンドワゴン』です。東京バンドワゴンという屋号の古本屋を営む家族が繰り広げる日常を描いた作品です。

家族の喜怒哀楽が丁寧に描かれています。作品の冒頭には人物相関図と登場人物の一覧が掲げられていますが、一通りこのあたりを理解しておかないと、読み進める上で混乱するかも知れません。私自身読み進める上で何回か、人物相関図を見返しました。

正直作品自体は、テレビドラマにしたら面白いかも知れませんが(実際、テレビドラマ化されましたね。)小説としては、その面白さは今一つかも知れません。登場人物が多いだけに、どうしても人称があいまいに感じられる部分もあります。

読みやすい作品ではありますが、昭和のドタバタ劇に懐かしさを感じられない人にとっては感銘を受ける部分が少ないかも知れません。