ClassAAヘッドホンアンプを作る。その2

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昨日LTspiceを使ってシミュレーションを重ねていたClassAAヘッドホンアンプですが、昨日の検証で漏れが見つかりました。これは本当に盲点だったのですが、オペアンプの入力オフセットをすっかり見逃していたんです。というか、入力オフセットの影響が意外と大きいことに気づきました。

オペアンプのデータシートに入力オフセットの記載があったのですが、その意味するところを理解していませんでした。LTspiceはこのあたりもちゃんと気づかせてくれるのがありがたいです。気づいたのは、出力波形を見ているときでした。回路の入力部分にはキャパシタを入れて直流成分が回路に入り込まないようにしていたのですが、何故か出力がオフセットしていました。出力から順に回路を追っていくととうとう入力部分のキャパシタにたどり着いてしまいました。入力からすでにオフセットしていたんです。つまり、オペアンプの入力オフセット電流で、カップリングコンデンサがチャージされていたんです。

オペアンプの入力オフセットというものがあるということはデータシートを見ていて気付いていたのですが、そもそも入力インピーダンスが高いので簡単にキャンセルできると思い込んでいました。

原因はオペアンプの入力オフセットということが分かりましたので、対策です。入力端子をグランドに落としてしまえば簡単にオフセットをキャンセルできますが、それをやるとアンプの入力インピーダンスが下がり、周波数特性に影響が出てしまいます。今作ろうとしているヘッドホンアンプは、接続しようと考えている機器の出力インピーダンスを勘案して数十キロオームの入力インピーダンスは確保しておきたいので、オフセットキャンセルの為の抵抗値を小さくすることは困難です。

そこで、基本に立ち返ることにしました。オペアンプは差動入力ですので、非反転入力端子と反転入力端子の電位を同じにすれば簡単にオフセットをキャンセルできるはずです。ということは、反転入力と非反転入力端子を同一抵抗値でグランドに落としてあげればオフセットはキャンセルできるはずです。

ということで、入力部分を変更しました。非反転入力に接続するプルダウン抵抗を変えたので、反転入力に接続する抵抗値も変えなければなりません。そうすると負帰還抵抗も変えなければならず・・・。ということで、そこそこ影響大でした。で、出来上がった回路がこれです。

入力オフセットを考慮したヘッドホンアンプ回路

LTspiceでシミュレーションし、出力のオフセットが解消されていることも確認できました。入力信号経路の抵抗値が高めになったため、ノイズが若干高めになりましたが、それでもS/N比はシミュレーション上で80dB程は確保できています。これはこれとして、入力バッファを挿入してノイズを下げた回路も試しに作ってみようと思います。

実際に回路を組まなくてもシミュレーションできるLTspiceは面白いです。

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