ヘッドホンアンプ オペアンプだけでは力不足

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オペアンプを使ったヘッドホンアンプを作ってきましたが、そもそもオペアンプという部品は一部の例外を除いて出力はそれほど大きくありません。これまで作ってきたClassAA回路を使ったヘッドホンアンプも、ノイズは少なく、適正な電源電圧を加えてあげれば音質も満足できます。しかし、オーバーイヤータイプのヘッドホンを鳴らそうと思うと残念ながら力不足で、十分な音量を得ることができません。そこで、オペアンプの後にトランジスタを使ったバッファ段を追加して出力を稼ごうと思いつきました。

で、ひとまず作ってみたのがこの回路です。

バッファ段追加 ヘッドホンアンプ

バッファ段は半世紀以上前に世に出て、未だに作り続けられている往年の名トランジスタ2N2222とそのペアとなる2N2907です。このトランジスタ、一個一円以下で売られています。NPNトランジスタとPNPトランジスタのペアを使ったプッシュプル回路にしてみました。そしてバイアスをダイオードでオフセットしたAB級動作としました。最初はB級動作で検討していたのですが、LTSpiceでのシミュレーションではどうやってもスイッチングひずみを消すことができなかったのでAB級にしました。その結果、見事にスイッチング歪を消すことができました。

シミュレーションではスイッチング歪は消えてくれました

負帰還はバッファの出力側からオペアンプの反転入力に戻すことで、トランジスタが発生させるひずみも併せてオペアンプで消し込む処理をするようにしました。トランジスタ2個で作った単純なバッファ回路ですから位相回転はほとんど生じませんので出力から負帰還を取るような芸当ができるわけですね。

周波数特性と位相回転についてもシミュレーションしました。

周波数特性と位相回転のシミュレーション結果

単純な回路ですので周波数特性も呆れるくらいフラットです。位相回転も20kHzで3度くらいですから位相余裕度は極めて高く、発振の危険性はほとんどありません。ノイズと高調波歪のシミュレーション結果はこんな感じです。

FFTシミュレーション結果

三次の高調波歪が目立ちますが、それでも-60dBくらいですから聴感上は問題なしと判断します。極めてシンプルな回路ですのでノイズレベルも十分低いレベルです。

以上は机上のシミュレーションの結果です。出力は計算上8Ωの負荷で0.6Wくらい出ますので、スピーカーも何とか鳴らせるくらいの出力は確保できそうです。実際にプロトタイプを作ってみなければ本当のところは分かりませんので、先ずは部品の発注をしなければなりませんね。

3件のピンバック

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